2012年1月12日木曜日

今年のBookJapanがすること・その2

BookJapanは豊﨑由美氏の「書評王の島」と相互に協力しあいながら運営して参りました。
「書評王の島」は、氏の公開書評講座「書評の愉悦」を母体とするグループで、同人誌の発行などの活動を精力的に行っています。その一環として昨年度はtwitter文学賞が創設されました。一般読者に広く呼びかけ、twitter上で投票を行うというもので、ユニークな特徴を持っています。

国内、海外それぞれで1作しか投票できない
 投票方式で決める賞の欠点は、母数が大きくなるとどうしても人気投票の性格が強くなってしまい、すでに人気のある作品、すでに売れている作品の追認に傾いてしまうことです。twitter文学賞にもその危険はあるのですが、独自の対策をとっています。
 それは、各部門の投票可能数を1つに絞るということです。投票できる作品が1つだけだと、自分が好きなものは何か真剣に考えたうえで票を投じる対象を決めることになる。その熟慮をもって、総花的なランキングになることを防ごうというのがこの施策の趣旨です。

投票期間の前に、読者によるプレゼンテーションの期間がある
 現在がその時期で、投票を検討している人はハッシュタグ「#tb国内」「#tb海外」を使い、自分のお気に入り作品を広く宣伝できるようになっています。自分が投票したいもの、もしくは投票したいけど他にベストの作品があって自分では票を入れられない作品などについてツイートで推薦し、他の人にも広く読んでもらおうという意図です。
 twitter文学賞にはもともと、自分のお気に入り作品を広く世に広めたいという要素が含まれています。昨年の投票結果を見てその作家を読み始めた、という人もtwitter上で多くみかけました。その機能をさらに充実させるために、こうした準備期間を設けているわけです。ぜひみなさんも、プレゼンテーションに参加してみてください。

利益誘導の性格が薄い
 twitter文学賞のおもしろいところは、受賞者にわかりやすい恩恵がもたらされず、むしろ「持ち出し」になる点ではないでしょうか。受賞者には正賞などが授与されますが、その代わりに「自分のお気に入り作品を選んで、投票者にプレゼントすること」が求められるのです。もちろん自腹です(海外作品の場合は版元負担)。名誉と思って受けてくれる受賞者ばかりならいいのですが「そういうことならいいです」と断られてしまったらどうなるのでしょうか。昨年度の盛田隆二氏のように、意気に感じてくださる方が栄誉を受けられることを望むばかりです。

 こうしたtwitter文学賞の性格は「読書を愉しみ、書評を愉しむ」という当サイトの方針と合致していると考えています。本年度は全面協力の体制で臨みますので、今後の発表にご期待ください。

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