2012年9月2日日曜日

石巻のこと(その2)&9/4喜国雅彦さんトーク

 前回も書いたとおり、8月24~25日に石巻市に行ってきました。地元で食品加工会社の工場長をしていらっしゃるAさんにお招きいただいたからです。前回は災害廃棄物処理場のことを書きましたが、今回は現地で活動しているNPOのことをお伝えしたいと思います。

 Aさんの紹介で、東日本大震災圏域創生NPOセンターを訪問しました。
 ここの代表の高橋さんは本来気仙沼の方ですが、たまたま所用で石巻市に滞在しているときに大震災に遭遇し、Aさんと同じ日和山の避難施設で暮らすことになったのだといいます。高橋さんはその偶然に運命を感じ、石巻市で同じく被災した人のために働こうと考えたのでした。

 高橋さんのNPOは現在、石巻寺子屋という施設を町中で開いています。これは仮説住宅で暮らす小中学生のためのもので、保護者が帰ってくるまでの放課後の時間を子供たちはここで過ごすのです(もちろん中には、親を震災で亡くした子供もいます)。

 私が訪問したときはまだ夏休みでしたが(石巻市では27日から学校が始まったそうです)、数人の小中学生がそこで宿題をしたり本を読んだりしながら過ごしていました。壁には「何時から何時までは勉強の時間」というような貼紙が。何かの用事が終わったのか、寺子屋にやってくる子供たちを高橋さんたちは「お帰り」と迎えていました。あ、懐かしい、この感覚。一緒にいた子供に聞いてみました。

「学童(保育クラブ)みたいじゃない?」
「うん、学童みたい」
「これ、学童だよね」と妻にも同意されました。

 そう。そこはいわゆる学童保育クラブの機能を持つ子供たちの「居場所」でした。うちの子は小学校入学から3年間を学童保育クラブで過ごしたので、親子ともどもその光景に見覚えがあったのでした。懐かしいわけだ。

 高橋さんがNPOの活動としてこの「学童」を作ったのは、「子供を通じた復興」という意図があったからです。なんといっても大事なのは仕事であり、自分の手でお金を稼いで生活を立て直すことです。そのためには、大人が安心して働ける態勢を整えてあげる必要がある。震災で居場所を奪われて淋しい思いをしている子供たちと、震災の前の生活を取り戻すためにがんばろうとしている大人たちの両方を支援するため、高橋さんはこの「石巻寺子屋」を作ったのでした。
 うん、よくわかるわ。子供を預かってくれる場所があれば、安心して働けるもん。

「石巻寺子屋」ができてから1年足らず。多くの障壁に行き当たってきたであろうことは想像に難くありません。たとえば施設の家賃は、行政からの補助では賄うことができず、併設した500円ショップの収入と有志からの寄付金によって充当しているそうです。私も及ばずながら500円ショップに立ち寄って、買物をしました。
 あ、これ射命丸文のフィギュアじゃん!


 葉庭さんの巫女みこ萃香もあるし!


 ……いや、つい趣味に走ってしまいましたが(ちなみに、どちらも〈東方Project〉の同人グッズです。いい買物をしてしまった)、及ばずながら私もこの運営に助力したく、あることを思いつきました。

 それが「組紐ミサンガ」の委託販売です。


 このミサンガは、仮設住宅で暮らす人が手作りしています(一つひとつに、作った方の感謝のメッセージが手書きで封入されています)。仮設住宅でも何か収入の途を、ということで始められたものなのです。

 これを、トークイベントの会場である「BIRIBIRI酒場」で販売していきます。大小とありますが、値段は両方とも500円。収益はすべて、NPOの運営費にしてもらいます。会場でもご案内しますので、気に入ったらぜひ購入してください。販売は9月4日(火)の喜国雅彦さんトークイベントから開始します。本当に偶然なのですが、私が石巻市に行くことが決まってから、喜国さんの被災地ボランティア活動を記した『シンヂ、僕はどこに行ったらええんや』(双葉社)が刊行され、トークイベントの開催を思いついたのでした。何べんも書きますが、運命の不思議を感じずにはいられません。

 喜国雅彦『シンヂ、僕はどこに行ったらええんや』刊行記念トークイベントの詳細はこちら。 

 会場では喜国さんの本も販売予定です。この機会にどうぞお求めください。(杉江)

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